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「新850語で書く英語」88題:03後半「動物は植物で生きる」

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問題
03:動物は植物で生きる
 「植物と動物とは第一に栄姜物を摂取する過程において異なっている。植物は栄養物を自分のまわりの化学成分から直接取ることができるが,動物にはこれが不可能である。いいかえれば,あらゆる動物はその栄養物を,結局は植物から得ているのである。」

Basic訳例
The chief way in which plants and animals are different, is in the process by which they get their food.
Plants are able to take their food straight from chemicals round them, but animals are unable to do this.
In other words, all animals, in the end, get their food from plants.

解説
 今回の室先生のアドバイスは、「書き出し部分は、力強い英語らしい言い方で」です。

 では第1文から。
 「植物と動物とは第一に栄姜物を摂取する過程において異なっている。」
-この書き出しで、The chief way in which plants and animals are differentとここまでを主語に据え、 「植物と動物が異なる主要な点は」と主語をかまして、is in the process by which they get their food.と述語部分の「栄養摂取のプロセスなのだ!」を際立たせています。問題文の日本語から思い切り離れていますよね。普通は、Plants and animals are different chiefly in the process …としますよね。この普通の言い方だと「植物と動物は異なる」という当たり前のことが強調され、「主として摂取の過程がね」という補足になります。確かに前者の方が「摂取の過程」が強調されてインパクトがありますね。毎回こうするということではなく、こうするとインパクトがあるよ、という理解でいいと思います。ところで、Basicにはmainとかmajorがなくて、chiefなんですね。なんかchief wayってサマにならない感がありますけどね。まぁいいや。850語縛りに従いましょう。
-the processの後は、by which they get their foodとしています。私の愚案でin the process of taking foodと子供じみた表現をしたのが恥ずかしいですね。byを使っているところが渋いですね。they get their food by the processと位置付けてby whichとしたワケです。こういう機転が効かないんですよね、なかなか。

 次いで第2文です。
 「植物は栄養物を自分のまわりの化学成分から直接取ることができるが,動物にはこれが不可能である。」
-「栄養物を自分のまわりの化学成分から直接取る」の部分は、take their food straight from chemicals round themという表現をしています。中学英語っぽい表現ですが、take food from chemicalsで十分ですよね。訳例ではtakeを使っていますが、一文前はほぼ同じ意味でgetでした。getのルートセンスは「自分のものにする」という獲得系の意味です。takeは似ていますが「自分のものにして相手から離してしまう・奪ってしまう/それを選ぶ」という意味があります。今回で言えば、「栄養を摂取する」感が出るのは獲得系のgetの方で、「食事を取る」感が出るのはtakeという感じでしょうか。さて、私の愚案でこの後をaround themselvesとしましたが、selvesは余計でした。ちなみに、roundとaroundのどっちでもいいようですが、一説によるとroundはイギリス英語系でaroundはアメリカ英語系で好んで使われるようで、roundは円のような形を意味する形容詞や名詞に、対してaroundはa+roundからでin a circleを意味する副詞に由来するようです。
-「動物にはこれが不可能である」の部分は、いろいろ言い方ができ、訳例では(but) animals are unable to do this.としていますが、this is not possible with animals又はit is not possible for animals to do thisでもOKです。

 次いで第3文、
 「いいかえれば,あらゆる動物はその栄養物を,結局は植物から得ているのである。」
‐「言い換えれば」は、訳例ではin other wordsを使っています。言い換えれば」と言いたいなら動詞putを使って、to put it in another wayでもOKです。この動詞putはルートセンスは「置く/置き換える」という意味で、「服を着る」put it on/「脱ぐ」take it offのように、前述したtakeと相対する語です。
‐「あらゆる動物はその栄養物を,結局は植物から得ている」をall animals get their food from plantsと中学英語的にサラッと言っています。この第2文で一回takeを使っておいて第3文でgetを使っているのは、前述したように第2文では食事を植物から直で「取る/選ぶ」というニュアンスで、第3文では栄養を植物から「摂取する/自分のものにする」というニュアンスでしょうかね。(いや、深く考えずに単に同じ動詞の3連チャンを避けただけかもしれませんが…。)
-「結局は」はin the endを使っています。室先生曰く、after allも同じ意味の言い方ですが、ニュアンスとして「いろいろやってみたんだが…/何と言っても」という「全ての努力は無駄だった」感があるので、ここでは相応しくないようです。動物は動物を食べて栄養を得ていますが、遡っていくと、その食物連鎖の最初の小さい動物は究極的/最後の最後/末端の末端では「植物を食べている/植物から栄養を摂取している」と言いたいわけですから、endを使ってin the endがシックリくるようです。この辺の理屈っぽいくらいのこだわりは、普通の英語の勉強では考えなくていいと思いますが、Basicで英語の勉強をトレーニンぐしておくことで、基本単語の選択においてネイティブが自然に使うような語を選ぶ訓練になっています。

用例
 今回、室先生が取り上げたのはwayでした。室先生曰く、この第3問で最も英訳する上で重要な単語なのだそうです。(すいません、そうとは知らず、「解説」でwayが出てきた際には適当に扱ってしまいました。)
 今回の問題文の「主な点は」の「点」に当たる部分ですが、普通wayときたら点ではないですよね。室先生曰く、「通路/習慣/方法/流儀/距離/状態/…など」に当たる大変広い語義を持つ語です。以下、室先生の例文でその片鱗に触れましょう。
-way の用例:
・He has a way of sleeping late in the morning. (彼は朝寝の癖がある。)
・That will be the best way to make clear the present conditions. (現在の状況を明らかにするには、それが最善の方法でしょう。)
・The school was a long way off from his house. (学校は彼の家から遠く離れていた。)
・Is it true that he is in a very bad way at present? (彼は今大変具合が悪いそうだが本当だろうか?)
・Please do not get in my way. (どうか僕の邪魔をしないでくれ。《※my way=その人の通り道に入ってくるのはその人にとって邪魔ですから。》))
 ナルホド、使える1語ですね、wayって。

私なりの教訓
 今回は前回+前々回の反省にかんがみて、十分に日本語から離れて英語らしくしたつもりなんですけどね。また、してやられました。foodとかchemicalsは「どうだ!」と内心胸を張っていたんですけど、室先生の訳例は更にその上を行っていました。そんな一単語の選び方の問題ではなく、伝えたい概念を日本語から離れていかに英語らしく伝えるか、っていうことですね。当初の日本語の問題文と室先生のBasic訳例を比べると、日本文で複雑かつ高尚な文だったワケですが、Basic訳の基本単語の羅列はすごいギャップですよね。英語だけ見たら「中学生か?」と言われそうです。勿論、仕事の会話をするときは専門用語/業界用語/テクニカルタームを使わないと話にならない部分はありますが、そこは置いておくとして、よくよく英文を見てみると、当初伝えたかった概念そのものは寸分違わず漏れなく伝わっています。Basic850語という縛りの中で、最大限に基本単語を駆使して、今回のような論文の一説のような文章も英訳できるワケです。これがBasicの切れ味です。
 特に、今回の冒頭の「インパクトある書き出しを」の話は、毎回そうすべきものではないものの、外人に自分の言いたいことを理解してもらいたい際の「つかみ」として、時と場合によって非常に効き目のあるワザですね。今後の心構えとしてこの話は常に念頭に置くことにします

@@@@@@@@@
 では、次の宿題です。これまた論文の一説のような難問です。
04:哲学と科学
 「多くの点で哲挙と科学とはほとんど相対立するもののように思われる。すなわち,前者は非常に概括的な理論を築きあげ,仮説についての不確実な信念を取り扱うのに対し,後者は確実であって,特殊な事例をとりあげ,事実のみを扱うものであるからだ。」

(了) 


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プロフィール

an old soldier

Author:an old soldier
自衛隊OBです。Basic Englishは基本単語850語だけで表現する英語の足腰を鍛えるコアトレです。自衛隊時代にPKOや日米共同訓練はBasicで乗り越えました。切れる英語です。退職後に英語やり直し中。 国際情勢のブログfog of warも覗いてみてください。

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